日東乗合自動車

提供: 下北沢百科

日東乗合自動車(株)(にっとうのりあいじどうしゃ)は、大正十四年に開通したバス路線で、渋谷から世田谷町役場前に至る。

経緯

  • 大正十四年(1925年)2月、渋谷駅前~中豊沢~淡島~世田谷町役場前の区間が開業。同時期に代々木乗合自動車の代々幡町三角橋~北沢(池ノ上)~世田谷町淡島前区間も開業しており、淡島から渋谷へ向かうバス路線が2本誕生したことになる。
  • 昭和四年(1929年)10月ごろ、玉川電気鉄道に買収され、玉川乗合となる。以後の経緯については玉川乗合の項参照。

中豊沢バス停は南平台交差点付近(現在の渋谷行きバスの道玄坂上バス停付近)と考えられる。淡島から世田谷町役場前(現在の国士舘大学キャンパス付近)までのルートは、『世田谷近・現代史』の地図によれば淡島通り滝坂道)沿いのようにみえる。

東京近郊電車案内 : 附・乗合自動車

大正十五年『東京近郊電車案内 : 附・乗合自動車』[1]に詳細が記載されているので、ここに引用する。

中渋谷世田ヶ谷間 日東乗合自動車

停留所名 豊沢より(銭) 同時分(分)
中渋谷豊沢
松見坂上 5 3
騎兵連隊前 10 6
淡島 15 9
衛戌病院前 20 12
世田ヶ谷役場前 25 15

沿道の主なる名所、軍衛等
近衛輜重兵大隊、騎兵第一連隊、陸軍獣医学校、陸軍第二衛戌病院、天然園守山公園、松陰神社、淡島森巌寺の名灸、豪徳寺、永泉寺、円乗院への近道

営業案内

  1. 午前六時半より午後十一時迄十分毎に発車
  2. 前記停留所の外、危険なき限り沿道便宜の場所に停車の上乗降者の便を図る。
  3. 団体乗車は特に賃金の割引をする。但し予め申込のこと。
  4. 九十日間の定期乗車券あり賃金五割引、而かも記名本人に限り一日何回乗車しても差支ない。
  5. 回数乗車券は左の如くである。但し学生券の申込には在学証明書を必要とする。
種別 二十二回券(円) 四十四回券(円) 七十二回券(円)
普通回数券 1.00 2.00 3.00
学生回数券 0.80 1.60 2.00
小学生券 0.50 1.00 1.50
  1. 専務取締役月村茂信氏

  1. 渡辺政太郎編『東京近郊電車案内 : 附・乗合自動車』(鉄道智識普及学会、大正十五年)pp.215-216